弊社の前身である「学生団体IWTO」は、東北地方(主に宮城県)の高校生対象のテニスの大会を企画運営する非営利の団体で、現在も半年に1回のペースで大会を開催しております。
新型コロナウイルスの感染が拡大している状況での大会開催となり、感染対策が求められる中で、私たちは「大会運営のオンライン化(ペーパーレス化)」を目標として取り組みました。
第1回大会からその構想の実現に向けて取り組み、第5回大会にて完全オンラインかつペーパーレスの大会を実現することができました。
このページでは、過去に開催された各大会での取り組みを掲載いたします。
IWANUMA Tennis Open 2021
初めての試みであった第1回大会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2回も開催が順延となりました。
大会運営では、「密」な場所を作らないことが求められました。
主な取り組みとして、大会当日の受付をWebフォーム化し、オーダーオブプレイをオンライン化することを行いました。
結果としては、「密」を避けることには成功しましたが、外部ツール(Googleフォームや掲示板を改良したもの)を利用したオンライン化手段の利便性に大きな課題が見つかりました。
また、急なエントリーキャンセルによるドロー変更などに関しては、現段階ではホワイトボードを用いた紙ベースの(オフライン)運営が最適であり、オンライン化に関してはスタッフ一同、ハードルの高さを実感しました。

IWANUMA Tennis Open 2022 1st Stage in Rifu
第1回大会ではオンライン大会運営を試みましたが、結局オフライン運営となりました。
私たちスタッフがそもそもオフライン運営を知らずに、いきなりオンライン運営を始めても成功する可能性は低いという反省点が浮かび上がりました。
ですので、第2回大会では「完全なオフライン運営」の形式で開催しました。
(オーダーオブプレイ、トーナメントの進行、大会進行状況の発信を全てホワイトボードで実施)

オフライン運営の強みは「イレギュラーな状況にも即座に対応できる」ところにあります。
試合に入るコートの変更や試合スコアの修正、トーナメントの勝敗の修正など、紙媒体で情報を管理するオフライン運営であれば斜線を引くだけでできます。
この強みをオンライン運営に引き継ぐことができない限り、世の中にオンライン運営が受け入れられることはないのであろうと再認識できる良い機会となりました。
IWANUMA Tennis Open 2022 2nd Stage
第3回大会では、弊社のスタッフが大会進行管理用のWebアプリケーションを開発し、オーダーオブプレイと試合結果の管理をオンライン化いたしました。
これまで大会本部に設置していたホワイトボードの代わりに、PCモニターを設置し、オーダーオブプレイをリアルタイムで表示いたしました。
さらに、選手にはスマートフォンからオーダーオブプレイを確認できるリンクを共有し、どこにいても確認できるようになりました。


大会の運営の一部をオンライン化したという一定の成果は出せましたが、第3回大会でも『完全な』オンライン化は実現できていない状況でした。
第3回大会を通じて感じたことは、オフライン運営とオンライン運営を組み合わせたハイブリッドな運営は、大会運営にとっては手間が増える可能性もあるということでした。
しかしながら、選手からのオンライン運営の反応は想定以上に良いものでありました。
このタイミングで、エントリーから大会運営まで一貫して行えるWebプラットフォームを制作する新規のプロジェクトが、学生団体内のメンバー6人によって立ち上げられました。
Webプラットフォーム「raquty」の開発プロジェクトが始まります。
IWTO2023
「raquty」は、第4回大会の開催に合わせて仮完成の段階まで到達しました。
大会運営は「raquty」にて大会を登録し、サイト上でエントリーを受け付け、ドロー作成から大会当日の運営まで行うことが可能となりました。
選手は、「raquty」に選手登録を行い、サイト上からエントリーを行っていただきます。エントリーリストや抽選結果、運営からのお知らせ、大会当日の運営(オーダーオブプレイやトーナメント進行状況)についても、サイト上で確認することができるようになりました。

第4回大会時点ではraqutyは「仮完成」の段階でした。
大会当日に技術的なエラーが発生し、大会運営に影響を及ぼしたことや、大会運営プログラムが学生団体で主催される大会形式にしか適応していないことが、「仮」の要因となりました。
IWTO2024 1st Stage
第5回大会の開催に合わせて「raquty」は、ついに完成しました。
大会運営プログラムのエラーの改善と、大会運営側・選手側の表示画面のUIの向上を実施し、大会運営の完全オンライン化と完全ペーパーレス化を実現することができました。

※掲載されている人物名は架空のものです。
「完全なオンライン運営」により、従来のオフライン運営時に必要だった大会運営業務を大幅に削減し、さらに急な変更にもスムーズに対応できることを確認できました。

IWTO 2024 2nd stage
2024年11月に開催された第6回大会では、第5回大会までに完成した「raquty」をさらにパワーアップさせました。
大きな進化のポイントは2点。
- コンソレーションのマッチングの半自動化
- 試合中のスコア遷移を確認できる「IWTOアナリティクス」の登場
IWTO大会では、本戦で負けてしまった選手を対象にコンソレーションマッチを行ってきました。
本大会では、従来の「これまで対戦したことのない選手&所属が同じではない選手」の試合マッチングを簡潔に行えるような支援画面を開発しました。
これまで、1人1人の対戦成績を参照しながらマッチングを行なっていた作業がほとんどなくなり、大会運営の効率化をさらに実現しました。

大会運営の効率化が進み、解放された大会運営チームのリソースは、新機能「IWTOアナリティクス」へ注がれることになりました。
試合の1点ごとの推移やサーブの成功率などを大会運営チームが記録し、試合終了後に選手にその所感をデータと共にフィードバックしました。
この機能、選手からのレビューが高かったため、今後も機能を拡充して展開していく予定です。

初!メディア取材もありました!
今回、学生団体IWTO主催の大会として、河北新報様による新聞取材がありました。
raquty合同会社としての取材ではありませんが、前身団体として、活動を取り上げていただき、嬉しい限りです。
https://kahoku.news/articles/20241103khn000037.html
⇧『テニスの技磨け、高校生64人が頂点争う 仙台三高OBが企画、仙台で大会』2024年11月4日 河北新報 朝刊
IWTO 2025 ”最終決戦”
2025年3月、弊社前身の学生団体IWTOが主催する最後の大会「IWTO 2025 ”最終決戦”」では、大会運営の完全自動化を実現しました!
今回大会でのポイントは、
- セルフチェックイン機能の導入
- 選手自身での結果登録機能の導入
- オーダーオブプレイの完全自動化
- コンソレマッチングの完全自動化
の4つです。
セルフチェックイン機能の導入


今回大会では、受付にかかる事務作業の削減のため、セルフチェックイン機能の導入を行いました。
選手には朝7時30分に数字6桁の「チェックインコード」をメールで送信しました。
会場に到着したら本部に設置してあるタブレットに「チェックインコード」を入力して受付は完了です。
これまでの大会では受付作業には人手を要しており、長蛇の行列ができることが課題でした。
「セルフチェックイン」機能の導入で、大会運営事務作業をカットし、かつ選手も待たずにスムーズに受付をでき、大会開始まで楽にスムーズに行えるようになりました。
選手自身での結果登録機能の導入


結果報告は、raqutyのWebアプリ上から、対戦相手両者確認の上で報告する形式を導入しました。
結果入力後はサーバー上で自動でトーナメントが進み、対戦表とコンソレーションの試合マッチングが行われます。
勝者が本部に来て対戦結果を報告する方式の場合、勝者やスコアの登録ミスが多発しましたが、今回大会では選手同士でのWeb上からの報告により結果の報告ミスは、128試合中1件も発生しませんでした。
オーダーオブプレイの完全自動化


これまでのIWTO大会では、raqutyの大会運営用のWebアプリ上で対戦カードを手動で移動させてオーダーオブプレイを管理する必要がありました。
オーダーオブプレイは大会進行の心臓です。今回はここの自動化を成功させました。
選手が結果をWeb上で登録すると、サーバー上で次の対戦カードが自動で作成されます。
その後システムが自動的に、コートの最終試合終了時間、空き状況を考慮した上で適切なコートに試合をセッティングします。
大会本部で頭を使って大会進行をするスタッフが必要なくなりました。
コンソレマッチングの完全自動化
前回のIWTO大会では、コンソレマッチング支援画面が導入され、コンソレーションマッチの適切なマッチングを行えるようになりました。
今回大会では、コンソレーションマッチングから試合カードの作成までのプロセスを自動化することに成功しました。
当日の勝率、前回の試合からの経過時間、同じ所属同士での対戦や同日の同じ対戦を避けるなど、人力でやると途方もなく時間を使う処理を無人でクォリティーを高く実行することができるようになりました。
IWTO 2025 ”最終決戦”を経て
「大会運営の自動化」を目指して大会運営をすること3年。
やっと大会運営の完全自動化を実現することができました。
大会当日はイレギュラーな対応がない限り、スタッフはパソコンとずっと睨めっこする必要もなく、さらにはパソコンを開く必要もなくなりました。
raqutyを使えば数百人規模の大会の本部が1人か2人で実現できる世界線がすぐそこまで来ていると思います。
これからも製品の価値向上のために、raquty開発に邁進していきます。
最後に
これまで学生団体として、私たちは「raquty」を開発してきましたが、その「raquty」を学生団体内での大会のみに使うのはもったいないと、開発チームとして考えています。
「raquty」を全国に広めるため「raquty合同会社」を設立しました。
現在の「raquty」は、どの団体様でも活用いただけるような機能が最低限は整っています。
また、これからお取引させていただく団体の皆様には、同じ大会運営組織として「raquty」をより良い製品にするためにご意見をいただきながら改良や機能の追加を行っていく所存です。
ぜひ、私たちと一緒に新しいテニス大会運営組織運営を全国に広めていきませんか!